創作マンガを面白く描くヒントは「好きのおすそわけ」にあった
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創作マンガを面白く描くヒントは「好きのおすそわけ」にあった

数年前より、インスタグラムでコミックエッセイを展開して人気を博していたのが、いくたはなさん。ある思いを抱いて、第4期のコルクラボマンガ専科に参加しました。いくたはなさんのねらいは、いったいどこにあったのか? 受講によって、思い描いていたものを得ることができたのかどうか。ご本人にお聞きしました。

--4人のお子さんを育てながら続々と作品を発表し、SNSでの発信も積極的。いくたはなさんの24時間はいったいどうなっているのか? ほかの人と時間の流れ方が違うのではないかと疑ってしまいます。

 すこし前までは正社員として会社勤めもしてましたから、最近はこれで自由な時間が増えたほうですね。フルタイムで働いているころは、会社の昼休みとか家でトイレに行く合間なんかによく作品を描いてました。それに比べると今はかつての勤務時間が丸ごとマンガに充てられていてうれしい。
 睡眠時間ですか? ちゃんととっていますよ。子どもと一緒に寝るから布団に入るのが21時で起床は6時。ただまだ幼児もいるので夜泣きしたりしてどうしても夜中に起きてしまう。寝かしつけに成功しても、私は寝つきが悪いから1、2時間は目が覚めたままま。その時間にやれることはないかなと探して、今はプロットをつくったりメールの返信をするのをそこに集中させて済ませています。
 空いている時間をこれだけ作品づくりに集中させるようになったのは、インスタグラムをはじめてからのことですね。やっているうちに仕事としての依頼も増えていったので、そうすると「今日はやる気ないからいいや」というわけにはいかなくなっていく。習慣化と、仕事化による義務感。そのふたつがあると、さすがに何があっても続けられるようになりますね。

--それほど盛んに活動していたにもかかわらず、今年初頭からマンガ専科を受講することにしたのはなぜだったのでしょう?

 まずはタイミングがよかった。昨年ごろから自分の書籍を出せるようにもなってきて、そろそろ会社勤めを辞めてやりたいことに専念するのもいいかなと考えていました。そんなとき、インスタグラムでフォローしていて大好きなマンガ家の眠井アヒルさんとるびーさんが、コルクラボマンガ専科の第3期生だと知って何それ、そんなのあるの? と興味をそそられました。
 というのも私には、学びたいことが明確にあって。それまで私がインスタグラムで発表していたのはいわゆるコミックエッセイで、自分の身に起こったことしか描いていなかったし、そういうものしか描けなかった。でも、自分の身の切り売りみたいなことをいつまでできるわけじゃないし……という不安をずっと抱いていたんです。
 コルクラボマンガ専科を受講したら、フィクションの創作マンガが描けるようになるかもしれない。いや描けるようになるために受講しよう、と心に決めました。

(▼)いくたさん著コミックエッセイ『夫を捨てたい。』

 
--いざ受講しはじめて、印象はどう変わりましたか?

 最初の一ヶ月くらいは、目標に対する進捗が思ったほどではなくてすこし焦りました。創作マンガがスルッとは描けなかったわけです。これはいかん、立て直そうと考えて、自分がこれまでやってきたコミックエッセイを描くことはいったん封じました。
 マンガ専科ではツイッターにマンガをあげていって、自分のファンを増やしていくことが推奨されています。私はツイッターには手をつけていなかったんですが、ちゃんと取り組もうと、ここで創作マンガだけを展開していくことに決めました。
 それで、戦国武将が女子高生になる『龍と虎』と、男女の心情を描く『懐かないかのじょ。』の2作が生まれました。以前なら創作マンガは5枚くらい描くともう止まってしまっていたのに、両作とも話を続けられました。
 講座で学んだことを、しっかり生かしていった結果です。創作マンガではキャラクターにしっかり演技させなければいけないと聞いて驚きました。ほかにもいろんな方法でキャラクターへの理解度を深め、感情の幅を広げていくことができると教えてもらいました。使ったことのない技術は、どんどん取り入れていきましたね。自分の作品に活かせてこそ、講座を受けている意味があるはずですから。

 作品というのは「好きのおすそ分け」という考え方も、心から納得できました。『龍と虎』ではその観点だけを考えて、自分の「好き」を喰らえ! というくらいのつもりで描いていきました。おすそ分けどころか、「好きの垂れ流し」だったかも(笑)。そうしたら描くのがどんどん楽しくなって、創作マンガを初めて長く描けました
 ただ、「好き」だけじゃヒットするともかぎらないので、どんな媒体でも強いネタなのが明白な恋愛ものを、『懐かないかのじょ。』でやってみました。さらには、この作品では展開の節目のたび、「このあとどうなってほしい?」というアンケートをとって、より多くの人が望む方向にストーリーを展開させる方式を採用することに。
 インスタグラムをやってきた経験上、人が作品から離脱しそうなタイミングというのはだいたいわかるので、そろそろまずいかなというタイミングで効果的にアンケートを入れるようにして、興味を持ってくれる人を増やす努力をしました。

(▼)コミチ連載中『懐かないかのじょ。』


 自分の「好き」に振り切ったのが『龍と虎』で、人の反応を意識しまくったのが『懐かないかのじょ。』ということになりますね。それぞれに成果が挙げられたのでよかったです。マンガ専科のはじまりとともにゼロから始めたTwitterのフォロワーは最終的に7万を超えていました。
 もうひとつ、マンガ専科で意識を変えられたことを挙げるなら、マンガはひとりでつくるものだという思い込みを取り払えたこと。最終的に作品をつくるのは自分自身だけど、気づきを与えてくれる仲間がいることは大きな力になる。人と作品や創作についてやりとりすることが、こんなに作品を変えるのかと実感しました
 受講生同士でグループを組んで、「みんチャレ」で励まし合った目標達成を目指す活動もあるんですけど、その「みんチャレ」仲間とは講座を修了した今もそのまま付き合いが続いています。結局こういう仲間を得られるというのが、マンガ専科で得たいちばん大きいものだなと思いますね。

みんチャレとは
新しい習慣を身につけたい人が5人以下でチームを組み、チャットで励まし合いながらチャレンジする、三日坊主防止アプリのこと。マンガ専科4期では、さいしょの1ヶ月間このアプリを使って1日1Pマンガに取り組みました。

--半年間の受講で、成果は充分に出ましたか?

 そうですね、私は始める前からはっきりと目標を設定していました。創作マンガを描けるようになることはもちろん、それを電子書籍で出版して、できれば紙の本としても出せるようにというところまで考えていました。そのためにやれるだけのことはしたので、目標は概ね達成することができました。
 電子書籍で『龍と虎』を出せることになって、ただしそこで売れ行きがあまり伸びないと紙の本に行き着けないなと思ったので、PRの方法も自分なりに練りました。電子書籍の発売日前後にいろんな取材をしてもらえるよう働きかけたり、ちょうど「武士の日」というのがあると知ってその日にちなんで投稿してみたりと、話題づくりに励みました。マンガ専科受講生というとメディアに注目してもらいやすい面もあるので、大いに活用させてもらいました。

(▼)受講期間中に発売した作品『龍と虎』

--第5期以降のマンガ専科が気になっている人に、アドバイスの言葉はありますか?

 目標を明確に持って、ブレないで挑むつもりのある人には、ぜひオススメです。こういうマンガを描けるようになりたいなとか、こういう世界で活躍できるようになりたいなとか、できるだけ具体的に設定できる人なら、きっと成果が挙がるのでは。
「マンガの実力が不安な自分なんかが受けてもいいのかな」なんて考える必要はないし、そんなこと思っているようでは受講する意味がなくなっちゃいます。作品のなかで、目標に向かって走る人の姿って、読者の気持ちを動かしますよね。作者もそういう人だったら、なおいいんじゃないですか。目標を立ててひたむきに走る作家の作品は、きっとおもしろいだろうと、誰しも思うんじゃないでしょうか。

★☆☆コルクラボマンガ専科第5期 募集受付中です!
【募集期間:〜9/13(月)正午12時まで!】



いくたはなさん
【SNS】
Twitter  :https://twitter.com/suitondiary
Instagram:https://www.instagram.com/iktaa222/
note    :https://ikutahana.com/
【作品】
夫を捨てたい(祥伝社)
本当にあった愉快な話(竹書房)
龍と虎(コルク)
懐かないかのじょ。
取材・執筆:山内宏泰
Twitter:https://twitter.com/reading_photo   
note:https://www.yamauchihiroyasu.jp/




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